国宝宝厳寺唐門他3棟保存修理事業

彩色修理

彩色修理について
 建物の彩色に用いられている絵具(顔料)は、年月が経つにつれて接着力が弱くなり、剥がれてくるので、それを防ぐために新たに膠や布海苔を補います。
 絵具がすでに一部剥がれ落ちている場合には、剥落止めを施した後に、絵具が無くなっている部分にだけ新たに彩色を行うこともあります(補彩)。
 補彩の際には、周囲の色と調和させるために古びた色を塗る場合があります(古色合わせ、古色付け)。
 また、絵具の剥がれ落ちている度合いが甚だしい状況では、彩色の復原を行います。はじめに斜光ライトで斜めから光を当て風蝕のデコボコを調査したり、赤外線撮影で絵具や墨の図案を調査し、それにもとづいて図案の調査復原図を作成します。この調査復原図から見取り図を作り、それに従って彩色を行います。

【剥落止めの工程】

1 剥落止めを施す部材の上に美濃紙をあて(養生貼り)、その上から刷毛で剥落止め溶液(膠と布海苔の混合液)を浸透させる。
2 美濃紙が部材表面に密着したところで、絵具が木地から剥離している部分に注射器で剥落止め溶液を注入する。
3 脱脂綿などで上から押さえつけて、余分な剥落止め溶液を吸い取る。
4 乾燥したところで、養生貼りをはがす。この時、余分な剥落止め溶液とともに、塵や油の汚れも取れる。

塗膜の剥離

塗膜の剥離

剥落止め溶液の塗布・注入

剥落止め溶液の塗布・注入


静かに押さえる

静かに押さえる

剥落止め終了

剥落止め終了


【復原の工程】

1 現状の彩色状況を確認する。
2 部材を清浄な水で洗浄する。
3 斜光ライトにより彩色の輪郭を確認する。
4 礬水(どうさ)を木地に塗る。(木地固め)
5 下地の胡粉を塗る。
6 斜光ライトにより模様の輪郭を確認する。
7 調査復原図と見取り図を作成する。
8 薄墨などで模様の輪郭を描いたり、型刷りを等行う。
9 胡粉の上塗りをする。
10 絵具で色づけをする。(淡色→濃色の順)。
11 輪郭を濃い墨で縁取る(墨くくり)。
12 絵具で淡くぼかしを入れる。

調査

調査

見取図

見取図


型刷り(文様トレース)

型刷り(文様トレース)

彩色(淡色)

彩色(淡色)

完成

完成


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