住職ブログ

西国札所会に届いた1通の手紙から…

2016年09月07日

先日、西国札所会にある女性の方から1通の手紙が送られてまいりました。その手紙には、実家のご両親のことが書かれていました。お母様は、一昨年に脳梗塞からの障害と認知症となられ、その後すぐに今度はお父様が癌である事が判ったそうです。しかも末期の癌とのことで、時間を見つけてはお母さんの介護とお父様の手助けに実家へ通われたそうです。

お父様はそれでも気丈夫に、お母様の手助けをされていたそうです。ある日、お父様の申し出でご両親の持ち物の整理をしていた時、風呂敷に大事に包まれていた2冊の御朱印帳と2枚の笈摺りが出てきたそうです。ご両親が元気な時に始められた西国札所のものでした。半分も行けていない状況で体の不調からそのままになっているとの事で、女性は何とか満願にしてあげたいと心から思いが涌いてきたとのこと。早速その朱印帳や笈摺りを持ち、まだ行けていないある札所寺院へ参られたそうです。その夜、ご主人にその事をお話になると、ご主人もその思いに賛同され、それから時間を見つけてはご主人が車で一緒に札所へ行って下さるようになったそうで、お父様も大変に感謝しておられたとのことです。

しかし、お父様は今年の春にお亡くなりになったそうです。痛みをこらえ弱音もはかず献身的にお母様の介護を続けておられたそうです。何とか満願になった朱印帳と笈摺りをお父様の棺の中に入れて差し上げたそうです。苦しかったはずですが、この女性には安らいだ表情で眠っておられるように見えたそうです。本当にお参りの中で、手を合わせ、お寺に佇み、いろいろな方と触れ合う中で、女性自身も心の落ち着きと苦しみ悲しみに立ち向かっていく勇気を頂いたようだと書いておられました。

この女性の心暖かい行動は、体調が日に日に落ちていくお父様に、大きな心の安らぎを贈っていらっしゃったことでしょう。お父様が最後までお母様のお世話を続けられたのもこの女性の心がお父様の心につながっていたからです。

心のつながり、ここに生まれる人を思いやる心、これが観音の心につながるのです。